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I歯科医院の高楊枝通信。

I歯科医院の高楊枝通信。

1回で終わる根管治療8.0(α-TCP+3MIXによる根管充填法)

1回で終わるというか根管充填というよりは自然に根管が充填されるという根管治療が普及すれば、歯科業界にとっては革命的なものとなる。

自然に根管が充填されるというのは、その機序は不明ながらも観察すると、カルシフィケーションというのか、2次象牙質ができるように根管が閉塞する。

この症例は永久保存版としてフリーページにページに掲載しておくことにします。

・・50代女性、左下5、Per、咬合性外傷(食いしばりがひどい)

左下6も咬合性外傷により歯根破折で再植となったが、とうとう遠心根は抜けてしまった。近心根も風前の灯だ。
一年程前、5番の遠心が虫歯になっていて痛くなったのでCRで修復したが、咬合性外傷による接着剥がれもしくは外傷性の歯髄炎で歯髄は死んでしまった。

痛みは無いようなのだが、放置すると抜けてしまうので、根管治療をすることにした。

ここでの治療は岩久正明先生の3MIX+α-TCPによる治療を基礎にしているようだ。ようだというのはたまたま同じだったということだ。基礎にしているということはα-TCPに3MIXを添加するというのは特にアレルギーがない限りデフォだ。

https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/9002/

3MIXの中身も岩久先生のものとは同じではなく、たまたまあった手持ちの抗菌剤を使っている。α-TCPセメント(ニューアパタイトライナー2)は製造中止になったのだが、その主成分のα-TCPは製造元から入手できる。

ググれば簡単に見つかるはずだ。
「​太平化学産業​」というところでサンプル(とはいえ1kgだが)が入手できる。

α-TCPはクエン酸等の有機酸で硬化することは確認している。
50%クエン酸水の作り方は​こちら​。

根管に緊密充填する必要があるかというご質問があったが、必ずしも必要ではない。岩久先生の本にもあるようだが、近くにα-TCPがあるだけで根管が勝手に埋まるそうだ。(そうだというのも僕は本を持っているだけで読んでいないからだ)

僕は精製水練りの3MIX+α-TCPをディスポシリンジで超音波洗浄済みの根管に押し込み、超音波スケーラーのエンドチップを根管内で上下させながら可及的に広がるように根管内に充填している。決して緊密ではない。

これで根尖だけではなく根管内が2次象牙質ができるように埋まってしまう。

水分は綿球で軽く吸い取り、50%クエン酸練りのα-TCPでカバーする。こうしないとCR充填できない。
なぜなら精製水練りのα-TCPの硬化は遅いからだ。

一年前の虫歯の治療前


今回、根尖付近に陰影が見える。



歯肉の腫脹


根管内は#15〜20のエンドチップをオーバーして出血させないように洗浄する。薬液は6%重曹水だ。




超音波洗浄後は水分を根管とは垂直方向にエアブロウして吸い出すだけで、綿栓等で乾燥させる必要はない。細菌感染させるだけだし、根管充填は3MIX+α-TCPの精製水練りで水分は使うからだ。

以下の画像は1回目の根管充填。3MIX+α-TCPの精製水練りだ。


根管内部は綿球で水分を吸い取り余分なα-TCPを拭い取る。


2回目は3MIX+α-TCP(50%クエン酸水練り)で硬化待ち


硬化後CRで充填して終わる。CRのボンディングシステム以外は使用不可だ。
インレークラウンのセメント合着系は漏洩がひどいので、

必ず、

失敗する。


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